http://takano.blog.ocn.ne.jp/nissi/2009/11/post_1745.html より

2009.11.22

女川原発で プルサーマルを考える 2

前回は、使い終わったMOX燃料は国としてもまだ処分方法を決めていないことをお話しました。

 六ヶ所村の再処理工場が動いたとしても、MOX燃料の再処理をするライセンスはないとのことで、新しい再処理工場を建設しなければならないこと、高速増殖炉の実用が実現するのか、など難題が横たわり、その上、経済性が厳しく問われます。

 今回は、「百害あって一利なし」というお話をいたしましょう。

 まず、プルサーマルを実施すれば、電気料金は下がるのでしょうか。燃料加工までの費用が何倍も増えます。当面、経営努力で電気代に上乗せはしないと東北電力は説明しますが、間違っても、安くはなりません。MOXの使用済み燃料の処分問題が浮上すれば、負担は大きくなるのではないでしょうか。

 次に安全性についてです。推進をいう科学者も、プルサーマルを行えば、制御棒の効きが悪くなること、融点が下がること、ガスが多く発生すること、プルトニウムスポットと呼ばれる塊ができ不均一になることなど、安全余裕が少なくなることは認めています。問題は、それでも余裕があるから、安全だといっているに過ぎません。しかし、プルサーマルをやって、このように危険が増えても、より安全になるということは、だれも言えないのです。

 プルサーマルは、経済的にも、安全の面でも「百害あって一利なし」です。

 女川原発は、この間、事故やトラブル続きです。東京電力の点検データ改ざんが発覚して初めて、女川原発でもシュラウドや再循環ポンプ配管のひびが見つかったり、配管の穴あきが2度も続いたり、制御棒の配置を6箇所で間違いを起こしたり、2005年の宮城地震では限界地震動を超える揺れを観測し、耐震安全性が大問題になったり、水素濃度が上昇したり、燃料棒にピンホールという小さな穴があくトラブルが続いたり、火災が3度も立て続けに発生したり、制御棒の落下事故が繰返され、挙句の果てに、今年は、中央制御室のランプが切れていて、高圧注入系の緊急冷却装置が動かない恐れが23日間も放置されていたことなど、あきれるばかりの事態が発覚しています。、このようにあげれなきりがないほど、トラブルと事故隠し、データ改ざんなどが続きました。

 多くの町民は、まだ隠し事があるのではないかとか、プルサーマルを語る前に事故やトラブルをなくして欲しいと、率直に語っています。

 もう女川では、「お上が大丈夫というから、大丈夫」と思う人は、本当に少ないと思います。東北電力が「安全だ」と言えば言うほど、みんなは不安を感じるのです。

 この事態を変えるには、まず、規制機関をどこの国でも行っているように、推進する役所から独立させ、権限と安全審査ができる能力を抜本的に強化することです。

 これまで、政財官の癒着の上に、推進派の科学者だけで審議会を固め、国策だと、電源三法という金に物を言わせて押し付けてきたのが、日本の原子力開発の歴史ではなかったでしょうか。その結果、福島県の双葉町の早期健全化団体に指定された現実を見ると、このままでいいのかと、みんな考えるのは当然ですよね。