http://takano.blog.ocn.ne.jp/nissi/2009/12/post_b674.html より
2009.12.09

女川原発で プルサーマルを考える 4

女川原発で プルサーマルを考える 3 で、「BS世界のドキュメンタリー 核の警鐘 問われる原発の安全性 前編」 の内容をご紹介しました。

以前のNHKの番組紹介文書

明らかに「溶融が始まる温度は、理論値よりも低いおよそ600度だったことが発見された事実を紹介」と書かれています。

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11月11日の石巻文化センターで開催された 第二回「プルサーマル対話フォーラム」の席上で「NHKが報道した番組で、600℃で炉心溶融が起きることがわかったとフランスの実験が紹介された。過酷事故対策を検討すべきではありませんか」と壇上の先生方に問いかけました。

その後、北海道大学の奈良林先生が、何の根拠も示さず、「NHKの誤訳と判明した」という回答を寄せてきました。

そこで私自身でNHKに問いただすことになったのです。その返事が、次の通りです。

「552101re__3.eml」をダウンロード

簡単に整理すると、傍線部分が赤字に変わりました。「はるかに」の修飾語がなくなっていますが・・・

フェビュスの最初の実験では、それまで予測されていたより、はるかに低いおよそ摂氏600度で炉心溶融が起こることがわかりました。

※初回放送時の炉心溶融実験についてのナレーションの一部を、以下のとおり変更しています。
改)「フェビュスでの最初の実験では、それまで理論的に計算されていた値よりおよそ600度も低い温度で炉心溶融が起こることがわかりました。」

これに対して、NHKが誤訳で変更するとしているので、何か腑に落ちない感じですが、これからは私たちが独自の調査を行うこととして、この件は保留しておきましょう。
しかし、私が問題提起したことは、まだ解明されていません。
1、「理論値より600℃も低い温度で炉心溶融が起こることがわかった」のは、実験をしたから    です。プルサーマルだって、営業炉でいきなり行う前に、しっかり実験して安全を確かめてからすすめるべきではないでしょうか。
 外国の例を持ち出して、実績がある、安全は実証済みというかもしれませんが、原子力船「むつ」の例でもうわかったことではないでしょうか。あの当時、外国の原子力船が北極や南極で活躍していました。しかし、日本では陸上での試験も不十分なまま、強引に開発を急ぎ、太平洋の洋上で放射線漏れという事故を起こし、原子力「むつ」は漂流し続け、とうとう原子炉を船から取り外す羽目になったではありませんか。
外国で出来たから、日本でも出来るとは限らないのではありませんか。
2、「理論値より600℃も低い温度で炉心溶融が起こることがわかった」というなら、プルサーマルの安全の前提が大きく損なわれるのではないでしょうか。ましてや東北電力が主張する「安全余裕」は大幅に減少するはずです。
 だからこそ「炉心溶融は起きるはずがない」とするこれまでの国の立場を抜本的に見直し、過酷事故を想定し、原発とプルサーマルの安全審査をやり直すべきではありませんか。
 条件によっては、約1000℃も余裕があるなどと、とても言えるものではありません。
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推進派の科学者である奈良林先生は「NHKの誤訳」と指摘されても、私の質問には答えていません。
住民の安全を心配しての質問にどうして真摯に向き合ってくれないのでしょうか。
何が何でもプルサーマルは安全だと言いたいだけなのでしょうか。
いづれにしろ、来年の1月5日、午前10時10分より11時までBS1で再放送を行うそうです。ぜひ多くの人に見てほしい番組です。